講座の内容・ねらい

電話相談やカウンセリングの利用者が訴える苦悩は、労働場面における困難だけでなく生活上の困難である場合が少なくありません。いまや相談現場を担う専門職には、労働法の知見だけでなく、社会保障法の知見も必要とされてます。我が国では、憲法25条の生存権規定を根拠に諸々の生活困難に対応する社会保障制度が整備されていますが、その構造は複雑であり、また近年、頻繁に制度改正があって相談担当者が独力でこれをフォローすることは困難な状況です。そこで本講座は、具体的な事例性を踏まえつつ、相談担当者に必要とされる基礎的な社会保障制度の知見をコンパクトにまとめ提供します。
まず、総論として社会保障の原理や沿革等を概説し、各論を論理的かつ本質的に理解するための基盤を形成したうえで、各制度の内容を概説します。さらに、相談現場に持ち込まれる典型的な生活困難ケースを検討しながら、利用可能な制度等について理解を深めていただきます。