講座の内容・ねらい

今日、薬物療法や休養が有効でないうつ病・うつ状態が増えており、古典的「うつ」像と比較すると大きな変化を遂げています。理解や対応に苦慮する例も聞かれます。それらを本講座では「いまどきのうつ」※と位置付けて採り上げます。
本講座は二日間シリーズです。一日目は理論編。うつ状態・うつ病の定義、抑うつ状態と混同されがちな周辺の疾病単位と状態像について概観します。背景にある社会情勢・疾病概念の変遷も含めて検討します。二日目は実践編。事例検討と小集団でのディスカッションを中心に、具体的な状態像を疑似的に体感することを目的として行い、参加者の方が「いまどきのうつ」について持っている疑問を共有できる場にしたいと考えています。
「いまどきのうつ」においては、薬物療法や休養が奏効しないからこそ心理療法的対応の必要性が高いとも言えますが、同時に生じやすい「過剰な心理学化」に留意しつつ、心理療法では何ができるかを検討します。
※「いまどきのうつ」という疾病単位は存在しません。本講座のみで用いる仮の概念です。「新型」「現代型」などの言説自体が近年薄れていることから、本標題での講座開催は今回で終了とします。