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一般社団法人 日本産業カウンセラー協会東京支部
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セミナー・研修

事業推進部

~この変化の時代を乗り越えるために~
「コロナ禍でのメンタルヘルスマネジメントを考える」開催報告

2020.11.05 kouhou

10月8日(木)、東京支部では、シニア産業カウンセラー宮本剛志講師によるオンラインセミナー「コロナ禍でのメンタルヘルスマネジメントを考える」を開催しました。

宮本講師は冒頭に今日のテーマで大事にして欲しいことは「事例性」と強調しました。
事例性を大事にするとは「従業員にどのようなことが起き、それが業務にどのような支障をきたしているのか」という視点から状況を見ていくということです。

宮本講師は、
「従業員にストレスがかかっている状況をどうやって早期発見するのか」
「そもそもメンタルヘルス不調者を発生させないようにするにはどうすればよいのか」ということを、上司はマネジメントそのものとして捉えてほしいと言います。

今回のセミナーはテレワーク下でのラインケアやマネジメント能力に関する基本的知識や実践的なスキルを身につけることを目的とし、4つのプログラムによって進行しました。

 

 

 

 

 

 

① コロナ禍におけるメンタルヘルス対策の重要性
② メンタルヘルス不調の早期発見と声かけ法
③ コロナ禍の傾向をふまえたメンタルヘルスマネジメント
④ 信頼関係を築ける聴き方

① コロナ禍におけるメンタルヘルス対策の重要性

参加者に「テレワークによって、あなたのストレスはどう変化しましたか?」とZoomの投票機能でアンケートを行いました。今回の参加者は管理職が対象ということもあり、「やや下がった」が一番多く、次いで「やや上がった」が続く結果となりました。

ここで宮本講師より、「テレワークで生産性が下がったか」の調査結果の紹介がありました。その結果によれば、テレワークによる従業員のストレスは増えており、そのことを自身が自覚していれば適切に対処できるが、無自覚だとストレスをため込んでしまい、パワハラ的な言動に及ぶ要因の一つにもなりかねないとのことです。

続いて仕事の生産性とストレスの関わりについて、「NIOSHの職業性ストレスモデル」を用いた説明が行われました。

テレワークにおいて、従業員と1on1ミーティング等を行う際、「NIOSHの職業性ストレスモデル」に沿って行うと、課題や問題が見えてくるとのことです。

厚生労働省の調査によると、職場のストレス要因の1位は「仕事の量・質」となり、続いて「仕事の失敗」「人間関係」の順になり、「強いストレスを感じた時、誰かに相談した際、解決した、または、解決はしないが楽になった」と回答した人は92%に上ることを紹介しました。

職場の人間関係が良好であれば「仕事の量・質」はストレスになりづらくなります。日ごろから相談できる雰囲気、仕組み作りが大事であることを宮本講師は伝えました。

② メンタルヘルス不調の早期発見と声かけ法

続いて、従業員への4K(気配り・気づき・声かけ・傾聴)について説明が行われました。
コロナ禍において、従業員の「いつもと違う」に気づくには「いつもと違うサイン」を知っておくことが大切です。宮本講師から「遅刻や早退、突然の休みが増える」「メール・チャットの反応が薄い」等、「いつもと違うサイン」に気づくためのチェックリストが紹介されました。

ここで、オンライン上で参加者同士のグループワークを行い、自身の所属する組織内で「いつもと違うサイン」にはどんなことがあるか、意見が出し合われました。

参加者からは、

・朝礼の場で従業員の表情が暗くなった、発言が減った。
・社員同士の何気ない会話が減っている。
・飲みニケーションが減り親密度が薄くなっている。
・コミュニケーションが取りにくくなっている。

といった意見が出ました。

宮本講師からは「従業員の表情が暗くなり、発言が減った」について、「いつもと違うサインの典型」でたいへん大事なことであるとのコメントがありました。

生産性の高い職場は心理的安全性が保たれていることがGoogleの調査でわかってきており、メンタル上、支障がなく、何でもお互い言える関係性を持てることはオンライン上でも重要とのことです。

ここで、Zoomのチャット機能を使用し、「発言が減っている社員にどんなメールやチャットを送るのか」参加者に意見を募りました。

参加者からは、
・最近口数が少なくないですか?
・最近調子はどう?
・なんか最近元気なくない?

といった意見が出ました。

宮本講師からは、オンライン上で短い時間で的確にやり取りをするために、「いつも」や「今」を入れた声かけをして欲しいとのコメントがありました。例えば「〇〇さんはいつも会議で発言してくれるから助かるよ」等という具合に、いつもの状態を伝えてあげて欲しいと話しました。

ここで使えるのが発信者を主語とする「(アイ)メッセージ」です。
「いつもの状態+いまの状態+私(上司)が気になっている等」と、私(アイ)を主語にすることで、相手は受け取りやすくなるそうです。

 

 

 

 

 

パーソル総合研究所の調査によると、テレワークで発生する不安感、孤独感について、テレワーカーと上司の不安は似ており、特に、非対面でのやり取りは相手の気持ちが察しにくく、不安を感じることが多いとのことです。上司は従業員と適切なコミュニケーションを取り、フィードバックをしていかないと従業員の不安感を取り除いていくことはできなくなってしまうそうです。

続いて「コロナ禍でのメンタルヘルスマネジメントで工夫していることはありますか」をテーマにグループワークを行いました。目的は「職場で、皆で取り組めることを増やす」「その中でお金をかけなくてもできることを増やす」の2つです。

参加者からは、
・グループミーティングを毎日行っている。
・メールで気になる従業員に発信して状況を聞いたり、課題を与えてやる気になってもらう。
・Zoomの操作方法等のワークショップを開催している。

といった意見が出ました。
宮本講師からは、オンラインで従業員が雑談、相談できる時間を設定する、誰からも連絡がほしくない「集中タイム」を許可する等、具体的な方法が紹介されました。

また、従業員とコミュニケーションを取る際「報連相」を以下の方法で行うことがお勧めとのことです。

・報告(過去のこと)や連絡(現在のこと)はメールかチャットで行う。
・相(未来のこと)はビデオをONにして直接話す。

いつでもビデオをONにしたままでは従業員の負担になったり、ストレスになることもあるので、報告と連絡はメールとチャットを利用し、相談の際にだけビデオをONにするほうが、生産性も上がり、メンタルヘルス上の問題も生じにくいとのことです。
さらに、「従業員の変化を記録する(『いつもと違う』をリスト化する)」「メールやチャットでのやり取りが5往復したら電話や顔出しのオンラインミーティングに切り替える」等の対応方法が紹介されました。

オンライン上での1on1ミーティングの際、上司が明らかに横を向いていたり、PCのキーボードを打ちながら話を聞いていると、それは矛盾したメッセージとなり、従業員は話を聴いてくれているのか不安になります。メラビアンの法則によれば、矛盾したメッセージを受けた時に、人は言語メッセージよりも非言語メッセージの影響力を強く受けます

オンライン上で1on1を行う際、上司は正面に構えるのではなく、少し斜め(横)に映るようにし、従業員に上司の顔の表情がわかるようにコミュニケーションを取るのがお勧めとのことです。

④ 信頼関係を築ける聴き方

自分の話の聴き方の癖を知ることの重要さについて、ポーターの聞き方の「5つの態度」を紹介しながら説明が行われました。

従業員から「最近なんだか仕事が自分には合わない気がして。会社を辞めて自分にあった仕事を探そうと思っているのですが」と相談を受けた際は、ポーターの5つの態度のうち、「理解的態度」(相手の気持ちを共感的・受容的に受け止め、理解しようとする態度)を身に付けておき、相談を受けた際は「伝え返しをする」ことを心がけるとよいそうです。

「理解的態度」で従業員の相談を聴いた後は、アドバイスをすることも必要です。
その際に、従業員へのアドバイスとして、「起床・就寝時間を今までと変えない」「身だしなみを仕事モードに整える」等といった具体的な内容を紹介しました。

急激な変化を求められるこの時代、私たちはどう対応していけば、心の健康を保ちつつ生産性を上げることができるのか。そのヒントとして、マネジメントに求められる知識・スキルのポイントが凝縮された今回のセミナーは、大変好評の中、終了しました。

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